秋吉理香子 『息子のボーイフレンド』 ― 2021/06/30

題名そのものの家族の物語です。
高校2年生の息子・聖将から誘われてファミレスに行くと、「俺、男が好きなんだ」とカミングアウトされてしまいます。
莉緒はまだガールフレンドを妊娠させた方がよかった、一人息子だから、これから孫を抱くことさえないのかなどと頭の中で様々なことを考えてしまいました。
高校時代からの友人・優美に相談しますが、相手のボーイフレンドと会ってみればと人ごとのようです。
実を言えば莉緒と優美は高校時代に腐女子でした。
莉緒にはハードコアポルノと言っていいほどの男同士が愛し合う漫画を描いてはクラスのみんなに読んでもらっていたという黒歴史があったのです。
そんな莉緒でも、自分の息子がとなると話は違いました。
聖将の連れてきた雄哉は幼い頃に母親を亡くし、家事はもちろんのこと、祖母の介護もするという好青年でした。
とりあえず彼らの交際を認めた莉緒ですが、「セックスはダメです!」と叫んでしまいます。
莉緒の夫の稲男は会社をLGBTフレンドリーにするための取り組みの責任者です。
頭では理解していても自分の息子ならどうなるのか。
莉緒はなかなか稲男には言い出せませんが…。
登場人物5人のそれぞれの視点で書かれたお話で構成された小説です。
5人ともいい人ですが、特に優美さんのような誰でもウエルカムな人っていいですね。
本の中に出てきたゲイの患者さんの言葉が心に残りました。
「塚田修は異性愛者で普通に結婚して子供を持とうとしている社会適合者。同性愛者である自分に名前はなく、誰でもないんです」
同性愛者である自分が嫌いで、そういう自分を匿名の社会不適合者とし、見せないようにして生きていくなんて、さぞ辛いことでしょうね。
LGBTに関しての認識度は上がってきていますが、心から受け入れられるかといえば、まだそこまでは行っていませんよね。
実際に自分の子どもからカミングアウトされたら、あなたならどう思いますか。
LGBTに関して考える、いいきっかけになる小説だと思います。
是非、ご一読を。
最近のコメント